ハマティックの為に開発されたキャリバー106.0はグロスマン特有の古典的な支柱構造を持ち、プレートには6本のグラスヒュッテ様式リブ模様が施されています。
ハンマーヘッドとバネの相互作用によりハンマー本体が左右両方向へ振れ、その振動はサファイアローラーを通してぜんまいへと伝わります。フレームに十分な可動域を持ったことで安定した高いトルクを生み出します。この独自の構造には、わずかな人の動きをも即座に動力として捉え、なおかつムーブメントへは負担がかかり過ぎないよう、大きな動作の際にも巻き上げ機構の動きは緩やかに抑えるという二つの課題を叶える必要がありました。
過度な動きは精巧に設計されたハンマーフレームのエンドストップにより抑制されます。また緩やかな動きもハンマーが無駄なく歯車を通して香箱へと伝えるため、たった5度の振り幅でも効率的な巻き上げを可能にします。
独自のキャリバー106.0はサファイアクリスタルのケースバックを通して楽しむことが出来ます。また完全に巻き上げられた状態から約72時間のパワーリザーブを実現しました。
ハマティック
両方向巻き上げのバンパーオートマチックは、バンパーヘッドを備えたバンパーボディとバンパーばねの相互作用で機能します。バンパーばねの振れの動きがバンパーボディーのサファイヤロールに伝達されます。この構造は効率性にも信頼性にも優れたシステムです。かすかな動きとほんのわずかなバンパーの振れがエネルギーをほとんど失うことなく動力伝達を実現します。素早い動きと加速はキャッチスライドのコントロール受け、緩衝され、エンドストップでしっかりとリミットされます。
減速装置
ハマティックのシステムは、ハンマー本体の中軸に組み込まれたラチェット機構で双方向に作動する巻き上げ機構です。ハンマー本体の揺動運動を二つのラチェットレバーで受け止め、ラチェットホイールの交互の回転方向を通じて連続する回転運動に変換します。これが減速車を介して伝え車に伝わり、さらに香箱の角穴車に伝達されます。
ロッキングバー式巻き上げ機構
手巻き機構は一般的なレバー式で別のブリッジに取り付けられています。そのシンプルで信頼性の高いレバー式巻き上げ機構は、自動巻き機構を理想的に補完しています。ハマティック機構がアクティブな状態では、手巻きの巻き上げ機構はカンヌキによって角穴車から切り離されます。手巻きモードになると、減速ギアはアンクル爪フリーホイールによって角穴車から切り離されます。リュウズを引き出すとテンワが止まり時刻を合わせることが出来ます。同時に丸穴車と角穴車はカンヌキによって切り離されます。リュウズを元の位置に押し戻すと再び巻き上げモードになり、テンワの停止が解除されカンヌキにより丸穴車と角穴車は噛み合います。
技術仕様
ムーブメント
自社製キャリバー106.0、手巻き、5姿勢調整
特徴
グロスマン製テンプ/小型化したグラスヒュッテ式コハゼ装置(改良型戻し機能付き)/段差式テンプ受け、グロスマン製精密調整ネジによる緩急調整装置/表面処理をしない洋銀の3分の2プレートおよび支柱構造、3分の2プレート・テンプ受けのハンドエングレービング/幅広く水平なグラスヒュッテ・ストライプ模様、2段のサンバースト模様で装飾された香箱/平型ネジ留め式の盛り上がったゴールドシャトン/個別に取り外し可能なクラッチ式巻き上げ機構/時刻設定時にテンワを止めるストップセコンド機能/振り子ハンマー式自動巻き機構/両方向ラチェット歯車/アンクル爪によるフリーホイール/レバー式手巻き機構/香箱軸を分けた香箱配置の最適化
機能
時、分、ストップセコンド機能搭載スモールセコンド
部品数
312個
石数
38石(うち3個はネジ留め式ゴールドシャトンに使用)
脱進機
アンクル脱進機
脱進機
質量ネジ4本および調節ネジ2本を装着した耐震軸受式グロスマン製テンプ、ニヴァロックス1ヒゲゼンマイ(ブレゲタイプ80番、ゲルステンベルガー案に基づく)を下側に設置
テンプ
直径:10,0 mm 振動数:21.600 振動/時
パワーリザーブ
完全巻き上げ状態から約72時間
ムーブメントサイズ
直径: 36.4mm 厚さ: 5.15mm